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このブログは、約25年前にアルマック(現:アルマクリエイションズ 神田昌典代表)がビジネス会員向けに発行されていました顧客獲得実践ニュースレターを振り返ってみて、当時を懐かしんだり、今も使えるヒントや発見がないかを見直してみようという趣旨のブログになります。

実践ニュースレターvol.19

2000年1月に発行された顧客獲得実践ニュースレターvol.19号です。

この号は、本文12ページと資料13ページの構成になっています。
その中から、いくつかのノウハウをピックアップして紹介しますね。

ぜひマーケティングの参考にしてください。

内容1:何回チラシを配っても反応がなく全く売れないときどうするか?

何回もチラシを配っても反応がなく全く売れないとき、あなたならどうしますか?

間違っても「チラシの表現を変える」ことはしないでくださいね。

なぜなら、表現をちょっと変えるくらいでは売れるようにはなりません。

全く顧客が集まらないということは、そもそも根本的に戦略が間違っている可能性が高いのです。

戦略を簡単にいうと、「お客様の目から見たときに、自分の商品はどの位置づけ(ポジショニング)にあるか」ということ。

今回はある住宅会社を例に紹介します。

状況は以下のとおり。

  • 困っている内容:2,650万円の分譲住宅が売れない
  • 売れない原因:公社が上記の住宅より5分ぐらいの場所で分譲宅地の販売を始めた
  • 価格:坪単価半額ちかく
公社とは

地方公共団体が公共用地の買収・造成、農地開発、有料道路経営などのため財政援助をして設立する法人のこと。

公社で安く買える理由は、公的な運営かつ大規模住宅のため一軒あたりのコストを抑えられるから。

では、この物件をチラシでどう宣伝したら売れるかを考えていきましょう。

①どんな顧客を対象とするのかを明確にする

今回は住宅という高額商品ですが、どんな商品でも本質は同じ。

顧客の対象を間違えていれば商品は売れません。

たとえば、氷を売るときに「寒い地方」の顧客に売るのは難しく、「砂漠」の顧客に売るのは簡単かつ高値で売れると思いませんか?

今回の住宅会社に話を戻すと、チラシの反応がないということは氷を「寒い地方」で売っているケース=売れないのは当然と考えられるのです。

この住宅会社の間違えは、住宅周辺の住人ではなく隣町の住人に配っていたこと。

なぜかというと、公社は坪単価半額で売っていることを引け目に感じ、周辺の住人は買わないだろうと仮説を立てたからです。

しかし、実際購入した人は、土地価格が公社より倍と知っている地元の人だったのです。

しかも、広域に広告を出していた公社で購入した人も、購入した半分以上が地元の人だったとわかりました。

ここからわかるのは、顧客対象は地元の人だということ。

また、当然ながら現在持ち家を持っている人は買わない可能性が高いので、対象はマンションもしくは賃貸の人。

このように顧客対象をまず明確になければ、売っても売っても売れないということにつながるのです。

②顧客が明確になったら効率的な販売方法を考える

顧客が明確になったら、正しい販売方法を考えましょう。

住宅会社の改善前のチラシ内容は以下のとおり。

  • 売り出し方:高級輸入住宅が2650万円で安く買える
  • キャッチコピー:丈夫・素晴らしい材質を使用・快適
  • 公社は安いけど、今なら300万円値引きもできる

このチラシの内容を考えるときに重要なのが「ニーズとウォンツ」。

タイトルが入ります。

ニーズ(必要性)とウォンツ(欲求)とは、簡単にいうと「目的」と「手段」のこと。

欲しい物がある時に「○○するために必要(必要性)」「便利だから買いたい(欲求)」と考えます。

顧客心理としてはウォンツ(欲求)が先行することが多い。

※詳しくは、vol14の記事で紹介しているので気になる人は見てくださいね。

今回の住宅を例にすると、マンション暮らしの人に輸入住宅というのは強いウォンツ(欲求)もニーズ(必要性)もありません。
そのため、売れないという結果につながるのです。
では今回の顧客のニーズをウォンツを考えてみましょう。
今回の顧客のニーズは、子どもが産まれたとき、学校に入るとき、引越しなどライフプランが変わるタイミング。
ウォンツは、「予算の範囲で買えるなら、持ち家に住みたい」という現実的な欲求。
また利便性だけではなく、値下がりしない物件ならなお良いと考えているのです。
この点を踏まえて、もう一度ポイントを整理します。
  • 公社は坪単価は安いが、土地の規模が大きいので住宅全体の予算は3800万円程度必要
  • 公社はあと3つの物件しかない
  • 2~3年後トンネル開通により、交通の便がよくなる
  • 公社の安い坪単価により、周辺物件の価格も下がっている

これらの状況からトンネル開通後&公社の物件がなくなれば、一気に土地単価が高くなると予想されるので、今がもっともお買い時ということになるのです。

つまり、安売りではなく利便性や質重視のキャッチコピーに変更する必要があるということ。
たとえば、以下のような内容に変更してみてください。
「予算2,600万円で分譲住宅を探されている方へ緊急ニュース。駅から5分のバツグンのロケーション。全室南向き。○○年トンネルが開通のため、今が買いどき。しかも、住宅の素材は○○の高級輸入住宅。限定1棟。」
このように、ブルーオーシャンを狙って売ることを考えることで売れるチラシに変わります。
大切なのは、
  • どんな顧客を対象とするか明確にすること
  • 顧客が明確になったら効率的な販売方法を考える

しっかりポジショニングすることで、効率よく正しくアプローチるので事前に作戦を練ることが重要です。

まとめ

今回は、顧客からみた戦略の考え方について解説しました。

住宅会社を例に紹介しましたが、本質は単価が異なる食品などの商品でも同じです。

販売する顧客対象を明確にし、ウォンツとニーズに沿った販売手法を考えましょう。

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