5分でわかる書籍要約『売れる&儲かる!ニュースレター販促術』

売れる&儲かる!ニュースレター販促術 (DO BOOKS)
米満 和彦  (著), 高田 靖久  (著)

当サービスとは競合サービスの関係になりますが、ニュースレターに関してよくまとめられていて非常に参考になりますので、ご紹介させていただきます。

<第一部の要約>

この本には、ニュースレターというツールをつかって、売り上げをあげるための方法が書かれています。どのような業種にも応用できて、少ないコストで満足のいく効果が発揮できると著者のお二人は語っています。

この本は、西日本最大手の印刷会社を経て独立起業された米満和彦さんと、全国600店舗に顧客管理システムを販売した実績をもつ高田泰久さんの共著で書かれています。

二部構成になっており、前半は高田さんによって「顧客管理とニュースレターの重要性」について説明されています。後半は米満さんによる「ニュースレターの作り方」について実践的なノウハウが紹介されています。

まずは第一部、ニュースレターを作る前に知っておくべき“顧客管理の重要性”についてお伝えしようと思います。

3つの販売促進

顧客管理とは一言でいうと『大切にするべきお客様を見極める』ということです。どのような仕事であれ、お客様を集めることは基本中の基本ですが、そのための販売促進は3つあります。

  1. 新しいお客様をつかまえる
  2. 来店したお客様を“常連客”にする
  3. 常連客の人たちと“長いお付き合い”をする

シンプルにお伝えすると『つかまえて、離さない』ということです。上記3つの販売促進の中でいちばん大切にすべきなのは、常連客の人たちと長いお付き合いをすること。なぜかというと商売には『顧客離反率』というものがあるからです。

つかまえたお客様が1年間のうちにどれだけ離れていったか(お店に来なくなったか)という顧客離反率は、なんと40%以上にもなるといわれています。これは100名のお客様が1年後には40名離れて60名になっているということ。さらに次の年には60名の40%、24名が離れていき、お店には36名のお客さんしか残りません。どんなにたくさんの新規客をつかまえても、これだけ離れてしまっては意味がありません。

この本の中では「穴のあいたバスタブ」を例にして、「どんなに水をいれても穴が空いていては意味がない」と書いています。先ほどお伝えしたように「つかまえて、離さない」ということが大切なのです。バスタブの穴をふさぐことが重要です。しかし現実問題としてすべてのお客様をつかまえ続けることはできません。

離してはいけないお客様とニュースレター

ここで重要なのが、「離してはいけないお客様」を明確にすることです。お店に来てくれるお客様を「1回の来店でつかう金額」ごとに分けて、売り上げランキングを作るのです。そして以下のように区別します。

  1. 上位10%を“ファン客”
  2. 次点20%を“得意客”
  3. 次点30%を“浮遊客”
  4. 下位40%を“試用客”

このうち「離してはいけないお客様」は、1のファン客と2の得意客です。
この上位30%のお客様だけで、お店全体の売り上げ75%も占めているのです。高田さんのリサーチではどの業種もほぼ例外なくそうなっています。この①と②の客層を“常連客”として長いお付き合いをすることができれば、売り上げはあげられると高田さんは言います。毎年のようにお客様が離れていくという現実をふまえて、経営者がやるべきことは2つあります。

  1. 自社のファン客と得意客を見つけ出す(「どこの」「誰が」「いつ」「いくら」使ってくれたかをデータ化する)。
  2. ファン客と得意客にむけて定期的に『ニュースレター』を送る。

ニュースレターの基本(送付回数・内容)

本書の題名にもなっている『ニュースレター』がここで登場してきました。それではニュースレターとはいったい何なのでしょうか。一言でいうと“売り込まないダイレクトメール”です。「売り込みしなかったら、商品を買ってもらえないのではないか?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。しかしニュースレターの基本をおさえることで、売り込みをしなくても結果的に売り上げはあがります。この本では実例も紹介されています。

その紹介を取り上げる前に、まずニュースレターを送る際の『回数』と『内容』についてお伝えします。

  1. ニュースレターは『年4回』を基本とする
  2. ニュースレターは『心のこもった手紙』であると考える

送る回数

まず送る回数ですが、高田さんによると『年4回』が基本になります。
それは“3の法則”という人間の性質があるからです。人はある物事に対して3日→3週間→3ヶ月という節目でどんどん忘れていきます。お客様が最初にあなたのお店に足を運んでから3ヶ月後には頭の中から忘れ去られていると思ってください。そのため3ヶ月ごとに1回、年に4回、ファン客と常連客にニュースレターを送るのです。

内容

次に『心のこもった手紙』としてのニュースレターですが、どのような内容にすればいいのでしょうか。この本ではニュースレターで成果を出した3つのお店を紹介していますが、そのいずれにも共通するポイントがあります。

  1. 売り込みをしない
  2. 自分で作る(業者に頼まない)
  3. 自社のこだわりを伝える
  4. そこで働く人たちの顔が見えるようにする(スタッフ紹介や日記風のコラム、経営者の想いを載せる)
  5. 読者も参加できる企画をつくる(お客様の誕生日やクイズを載せる)
  6. チラシも別紙で同封する(売り込みはここでやる)

たとえばニュースレターで店長の娘さんの結婚式の様子を載せたり、小さな息子がいる女将の爆笑エピソードを載せたりします。大切なことは自社の商品について書くのではなく、自社スタッフの“人となり”が伝わるようにすることです。もし目の前に卵焼きが2つあると仮定します。

  1. 誰が作ったか分からない卵焼き
  2. いつもニュースレターで読んでいる爆笑女将がつくった卵焼き

あなたはどちらの卵焼きを選びますか?
大多数の人が後者を選ぶことでしょう。人は「モノ」よりも「ヒト」に共感を覚える生き物であると高田さんは言っています。このほかにもニュースレターの中にアメ玉を入れて開封率をあげるなどのちょっとした工夫も紹介されています。

もちろん売り上げをあげることがニュースレターの目的なので、自社のPRをまったくやらないわけにはいきません。男女関係でいう「良い人」が「どうでもいい人」にならないように注意するべきです。チラシを同封することで自社の商品PRを行うことは相手にとってもいいことですし、もちろんニュースレターの紙面で売り込みをかけてもいいでしょう。

問題は自社商品について「どれぐらいのボリュームでPRすればいいのか」ということです。ニュースレターで、自社の商品についてまったくふれないわけにもいきませんし、かといって“やりすぎ”ても逆効果になります。

読んでいる人に“売り込み”と思わせず、自然と“商品に興味が出る”ようにするためにはどうしたらいいのか。それは第二部、米満さんによる『売れるニュースレターの作り方』で紹介していきます。

<第二部の要約>

「ニュースレターはコストをかけずに高い効果を発揮する優れたツールである。」書籍『売れる&儲かる!ニュースレター販促術』では、売り上げをあげるために、大切にすべき客層を見つけ出し、その人たちに向けてニュースレターを届けることが重要だといっています。

高田さん・米満さんの共著による本で二部構成になっています。後半の第二部では米満さんが『商品が売れるニュースレターの作り方』について説明してくれています。さっそくお伝えしていきましょう。

売れるニュースレターの特徴とは

“売れるニュースレター”には、つぎのような4つの特徴があります。

  1. 商品の情報ではなく、そのお店の“人となり”が伝わる。
  2. 目を引くタイトルで、中身をつい読みたくなる。
  3. スタッフ紹介やお店のイベント情報が載っている。
  4. 4コマ漫画など“名脇役”になるようなコンテンツが掲載されている。

チラシとニュースレターはまったく別物です。商品の内容や価格をPRするためのツールが「チラシ」であり、お店やスタッフの情報を発信するのが「ニュースレター」なのです。お店側がよかれと思って商品のPRをすればするほど、読者は抵抗を感じてしまいます。

売れるニュースレターは極端にいえば商品の情報をまったく載せなくてもいいのです。その代わり店長の子育て日記やスタッフの成長ストーリーなど“パーソナルな部分”を中心に書いてください。

タイトルも重要です。「優良野菜通信」という堅いものではなく、「おいしい“菜”新聞」など親しみのあるものにすることです。そしてつい続きが気になってしまう見出しもつけましょう。「山田商店について」ではなく「山田商店の裏側とは?!」というふうに“続き”を意識して書いてみてください。文章だけでなくお店の情報を4コマ漫画や手づくりの占いで伝えるなど“飽きのこない紙面づくり”も心がけましょう。

やるべきことは多いのですが、軸となる考え方は一つ。

それは徹底的に“読者の立場”で書くということです。

「商品の情報を載せなかったらモノが売れないのではないか?」と思われる方もいるでしょう。それは逆で「お店の情報を発信すると、なぜかモノが売れる」のです。なぜなら消費者はモノを買う上で“理由”を探しています。「安いから」「限定商品だから」といった理由があれば消費活動が起きます。その理由づけの手助けとなるものが“情報”なのです。

例えば目の前にトマトが2つあったとします。食べてみるまでその味は分かりません。Aのトマトには何も情報が書かれておらず、ただ値段だけがつけられています。Bのトマトには生産者の写真が貼られていて、吹き出しで「腰痛と格闘しながら収穫しました!」と書かれています。あなたならAとB、どちらのトマトを買いますか?この“人となりが分かるもの”こそが情報なのです。

ニュースレターの効果が高い3つの理由

消費活動を引き起こす“情報”が掲載されたニュースレターが高い効果を発揮するのは3つの理由があります。

  1. 昔から知っているような錯覚を覚える。
  2. インターネットの普及で消費者が賢くなっている。
  3. お店やスタッフをブランド化できる。

お店の人のプライベートな話や失敗談を読むと、そこに親近感が生まれます。先ほどのトマトの例でお分かりいただけると思います。また近年ではインターネットの普及により価格や商品の性能はカンタンに“比較”することができるようになりました。価格や性能に対して価値を感じにくくなっているのです。それに対して“お店のエピソード”は比較されることがありません。

またニュースレターで定期的にスタッフのことを知っていただくと、だんだんと“タレント化”していきます。スタッフがちょっとした有名人になることでお店のブランドが上がっていくのです。

ニュースレター作成の5つの鉄則

ニュースレターは読んでもらってなんぼです。送ってもゴミ箱行きになっては意味がありません。そのため次の5つの鉄則を念頭にニュースレターを作ってみてください。

  1. 売り込み臭を消し、タイトルは会社名と無関係のものにする。
  2. 店長やスタッフの“人となり”がわかるものにする。
  3. 温もりのあるデザインにする。
  4. 似顔絵・イラストを挿入し、記憶に残す。
  5. 商品に関する情報には“アドバイス”を入れるようにする。

これまで説明してきたものと重複するものもありますが、まずは徹底して“売り込み臭”を消すことです。読者は少しでも「売り込まれている」と感じると、離れていってしまいます。だから“店長やスタッフのエピソード”を載せるべきなのです。

ニュースレターのタイトルもお店や商品と関係のないものにしましょう。ただし売り込みゼロも問題があります。まったく売り込みのないニュースレターだと逆に警戒されてしまいます。目安としては紙面の20%を上限に商品の紹介やキャンペーン情報を載せましょう。

ニュースレターのデザインで大切にすべきことは「キレイさ」ではなく「読みやすさ」です。手作りでもまったく問題はありません。紙面で使われている言葉も「専門用語」は避けて、「シンプルで分かりやすい言葉」を選びましょう。また文章だけでは飽きがきてしまうのでスタッフの似顔絵やイラストを挿入し、記憶に残すことも大切です。

最後になりますが、商品に関する情報には“アドバイス”という視点を盛り込むことが重要です。機能や価格といった表面的なことではなく、その商品を買うことで生活がどのように変わっていくかをアドバイスすることで自然と消費活動が引き起こされます。

ニュースレターがうまくいくための心構え

ニュースレターは営業ツールとしても使えます。毎月、顧客となる企業に出向き、ニュースレターを「配達」すれば、担当者とのタッチポイントが増えます。即効性のあるチラシと違い、ニュースレターは効果が出てくるまでに時間を必要とします。成功するために必要な心構えとして“成功するまで続けること”が挙げられます。

お客様があなたの商品を購入するためには“理由”が必要です。その理由は商品の価格や性能ではなく、あなたの“人となり”です。インターネットがこれだけ普及している現代だからこそ「顔の見える相手」が重要視されています。ニュースレターを通してコツコツ築き上げてきた“信用”が消費活動のトリガーになることを忘れないでください。

まとめ:この本を読んだ感想

私は、20年ほど前にマーケッターの神田昌典氏の会員として、勉強する中でニュースレターの存在意義をしりました。あれから20年立ちますが、その当時のニュアンスやポイントがきちんとまとまっていると思います。根底の部分は今も昔も何も変わりません。大切なのは継続することのようです。定期的に読んで確認するために手元に置いておくべき本だと思います。