ニュースレターは、お店のファンを作ることが目的ですので、お客様に興味をもって読んでいただく必要があります。
興味をもって読んでただくには、どうすればよいのかというヒントは、人の欲求に訴えかけることが効果的です。
1、人の欲求
①一般的な3大欲求
一般的に人の3大欲求というと、「食欲、性欲、睡眠欲」と言われています。
これらは、人が生存していく中で、必ず必要となる欲求ですので、ニュースレターにおいて、この部分に訴えかけることはできません。
例えば、飲食店のニュースレターであっても、それを見て、「食べたい」と食欲に訴えかけたとしても、それは「おいしいものを食べたい」という欲求であって、ここでいう「食欲」つまり飢餓から逃れるための欲求にはつながっているとは言えないのです。
②別の3大欲求
「食欲、性欲、睡眠欲」という生存部分に関する3大欲求の他に、マズローの自己実現理論の実証的研究においてまとめられた3大欲求というものがあります。
それは「生存欲求、関係欲求、成長欲求」という3つになります。
つまり、一般的な3大欲求である「食欲、性欲、睡眠欲」は、生存欲求に分類され、それ以外に関係欲求と成長欲求があるということになります。
この3大欲求と、一般的な3大欲求の違いは、欲求のウェイトが異なるという点です。
「食欲、性欲、睡眠欲」の3つは、それを行わなければ生存できないということから、それらのウェイトは変わりませんが、「生存欲求、関係欲求、成長欲求」は、まず生存することが最も重要であり、一番ウェイトが高い欲求、ついで関係欲求、成長欲求の順にウェイトが高くなっています。
1)生存欲求
生存欲求は、人が生存するために必要な欲求で、寝る、食べる、の他に安全に暮らしたい、生活のために雇用されたいなどの欲求も含まれます。
2)関係欲求
関係欲求とは、自分の周りにコミュニティを築きたいという欲求です。
これは、自分が率先してコミュニティを立ち上げることも含まれますが、多くの人は、所属する組織(家庭、会社、学校など)において、コミュニティに属しています。
そこで、そのコミュニティから外れることなく、友好的な人間関係を築きたいという欲求が関係欲求になります。
3)成長欲求
新しい知識を得たい、新しい経験を積みたい、などなど人が成長を望むための欲求が成長欲求になります。
知的好奇心を満たす、新しいものを創造するという欲求は、生存欲求が満たされ、関係欲求が満たされてはじめて、強く感じることができると言うことになります。
2、人の欲求に訴えかけるニュースレター
繰り返しになりますが、ニュースレターはお店のファンを増やすことを目的としています。
お店のファンを増やすということは、先程の3大欲求でいうところの「関係欲求」を満たすことを目的としている、といえます。
では、そのニュースレターにお店の紹介や、商品の使い方といった新しい知識のみを掲載した場合、どうでしょうか。
人が成長を求める成長欲求は、関係欲求が満たされてはじめて高まる欲求です。
言い換えると、関係欲求が満たされていない組織においては、成長欲求が高まりにくく、そこから新たな知識を得ようという気になれない、もしくはそこに書いてある内容を信用してもらえないという結果に至る可能性があります。
著者との接点が無いという点で考えると、書籍と同様であると誤解されそうですが、書籍はもともと自身が成長欲求を満たしたいために読むものであり、手に取る時点で成長欲求が高まっているといえます。
一方ニュースレターを知識向上のために受け取る人は少なく、多くの方は手渡されたから仕方なく受け取るという方になりますので、頭から「どうせ宣伝だ」という認識で内容を読んでしまうことが多いのです。
そこで、まずは自身の店舗のコミュニティに参加したい、と思わせるような関係欲求に訴えかけるような記事づくりが効果的です。
同じ商品を購入するのであれば、見ず知らずの店舗で購入するより、馴染みの店舗で購入する、そのような関係を築けるよう、店舗のコミュニティに参画しているんだ、という気分になる記事作りを行うことによって、関係欲求が満たせ、お店のファンになってもらうことができるのです。
さらに、ニュースレターには、すでにファンになっている方に向けた商品の開発秘話や従業員の紹介などを載せることによって、関係欲求が満たせている人が、成長欲求も満たすことができる内容になっていることも必要です。
ニュースレターの紙面は限られています。
その中で、はじめて手にとってもらえる方に、「このお店のコミュニティは楽しそう」、と思ってもらえる内容と、すでにコミュニティに参画されている方が、「ニュースレターを読んで新しい知識が身についた、次も読みたい」と思ってもらえる内容をバランス良く記載することで、ニュースレターの効果を更に向上させることができるのです。