5分でわかる書籍要約『歯科助手が患者様を増やす』

歯科助手が患者様を増やす
クインテッセンス出版 領木 誠一 (著)

歯科医院のなかで唯一ライセンスを持たない「歯科助手」というと、受付・診療補助・医療事務の仕事をこなしているのに、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士よりも低めに設定されています。

ただ一般企業からきた歯科医院に来た人は、それぞれ素晴らしい能力を持っている人もいます。歯科助手が歯科業界の底上げをしているといっても過言ではないのです。

1、歯科助手の仕事とは

歯科助手の仕事といえば、まず最初に思いつくのが歯科医院の受付だと思います。初心者のうちは、患者さんの保険証を預かりカルテの準備、会計、電話対応などの業務をこなします。

歯科助手のベテランになると司令官のような役割をこなしている人も少なくありません。待合室で待っている患者さんにお声がけをしたり、診察中に患者さんの情報を伝達してくれる役割もあります。

当日キャンセルの対応、患者さんの顧客データの把握など歯科助手がいかに貴重な存在かがわかると思います。診療アシスタントでは、バキュームから印象材や責め年との準備など術者の上で行います。

上級者になると指示をしなくても先読みして行動して準備物を用意したり、診療流のお声がけ、手術中のアシスタントなどもあり、すべての能力の高い雌花序樹を「スーパーアシスタント」と呼んでいます。医療事務も、レセプトの発送、冠者さんへの定期検診のお知らせ、パンフレット、メールのやりとりがほとんどです。

レセプトに矛盾がないかのチェックをしたり、歯科医院全体のデータ化の能力に優れている歯科助手もいます。

2、歯科助手が活躍できる場を作る

歯科医院ではそれぞれに「プロフェッショナル(専門分野)」で時間単価の高い人を目指す必要があります。

そのためには、マネジメント力も欠かせません。歯科医院で求められるスキルは、「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3つになります。仕事の内容や役職、経験値によってもウエイトが違います。

かつての歯科医院は黙っていても患者さんが来ましたが、これからは、多くの知識や情報を持った患者さんが来院するためヒューマンスキルやテクニカルスキルを意識した対応をしていく必要があります。

歯科医師や衛生士などは社会的スキルが低い人も多く、いつでも辞められる意識の人も多く、歯科助手は高い責任感を持っている人ほど辞めてしまいがち。いい人材が欲しいとはいうものの、即戦力=テクニカルスキルでもあります。

歯科助手にやりがいをもたせる為にも、適切な評価システムが必要です。

歯科助手によって他業種の風が吹き込まれれば仕事の姿勢や、チームメンバー全体が変わることも期待できます。院長はその舞台を作る必要があるのです。

そのためにはまず医院の目指している方向や院長としてこれから何をやりたいのか「哲学・理念・ビジョン」を語りかけることも必要です。チームメンバーが職場環境で期待しているのは、1.適正な計画、2.働きがい、やりがい、3.力を発揮できる場=場合の3点です。

多くの人が公平で適切な評価システムがあって、適正に評価して欲しいという願いでもあります。やりがいのある仕事で自分の脳力を発揮できる場が欲しいと思っています。

院内での院長との関係性、チームメンバー同士の信頼関係、仕事そのものから得られる充実感がベースにあるからこそ、患者様の役に立つ役割を全うできるのではないでしょうか。またここの能力を引き出す為に、コーチングやカウンセリングを積極的に行います。

ただしコーチングがコーチと相手が信頼関係を築き、ある程度親密でないと機能しません。尊敬もしていない相手に自分の本音を打ち明けたいと思う人はいません。

顧客のリピーターが多いディズニーランドでは、チームメンバーの間に「顧客に感動を与えたい」その想いが強く出ています。これは顧客に対しての愛情のほかにならず、歯科医院では患者さんに対する愛情でもあり、医学を追求するメディカルマインドと合わさることで患者さんの満足度が高くなり、リピーターに繋がります。

人間は誰しも単調な仕事をしていると、そのうち飽きてしまいます。例えやっている仕事が毎日同じでもそこに重要な意味をもたせたり、舞台や肩書を与えます。

また、重要度を示すと人は変わります。仕事に対する“価値”を認識すると愛着に繋がり、他人に対しても愛情が湧くようになるのです。
重要なのが「この仕事に対して自分自身でどういう意味をもたせているのか」です。

3、インフォームドカウンセラーの存在を作る

歯科医院の受付は、患者さんの意見や考えが気軽に聞ける場所でもあります。例えば受付でクレームを言われた場合、担当歯科医師や歯科衛生士に報告する受付もいれば、「この話は私の胸のうちに止めておこう」とする人もいます。

クレームをクローズアップせずに事なきを得た状況では必ずしもいい結果を生むとは限りません。常に生じた問題を速やかにオープンにして院内の問題として対応するセクションを担うのが「インフォームドカウンセラー」です。

イメージとしてはクリニックのコンシェルジュ的な存在で、診療所と患者さんを繋ぐ架け橋的な存在でもあります。患者さんのよき相談相手でもあり、治療費の話まででき、自費治療の契約まで担います。

患者さんの逃げ道を作り、心理的ケアも行います。治療計画はドクターでないと立てられませんが、患者さんの思いを効くのはドクターである必要はありません。

院長に「この治療計画でいきましょう」と言われれば、NOとはいえない人が多く、特に若い世代の先生にはかんたんにはいきません。

インフォームドカウンセラーは、「なんでもかんでも根掘り葉掘り聞く」のは注意してくださいね。相手のことを聞き出そうとしたときに、すべての患者さんに対してすべてのことを聞くのが正しいのかというと、必ずしもそうではありません。

インフォームドカウンセラーが「選択の自由を提供する」必要性があるのです。そのためには高いコミュニケーション能力も必要不可欠です。

4、チームメンバーと連携をとるクオリティマネージャーの存在

クオリティマネージャーは歯科医院でも実際に取り入れているところが多く、治療技術以外の部分に対して院長や勤務医、チームメンバーがクオリティマネージャーと連携をとって、医院のクオリティをあげていく必要があります。

決められたことが決められたとおりに実施され、継続されているのかを確認し検証していきます。例えばベテランのメンバー^が退職して新人メンバーが入ってきた場合、戦力は同じわけではありません。

院内の品質が一時的に下がるのをなるべく小さくする為にはどうしたらいいのか?マニュアルを活用して、その差をカバーする方法を考えていきます。クオリティマネージャーは「PDCAサイクル」がいかに回っているかを確認する役割があります。

クオリティマネージャーがいることによって、医院の質が保たれているという意味でも非常に重要なポストになります。クオリティマネージャーは、対象者がチームメンバーや院長になり、代わりに目となり耳として活躍していきます。

チームメンバーのモチベーションの維持や向上も仕事の1つです。またクオリティマネージャーは、現場だけでなく家庭でもできるので出産で退職の選択をする必要がなく、収入の安定にもつながっていきます。

5、チームメンバーを生かす風土作りが重要

スタッフ主導の組織づくりをする為にも、必要なプロセスは以下の通りです。
・風土、カルチャーづくり
・理念、ルールづくり
・チームメンバーを知ること
・チームメンバーの教育
・チームメンバーの評価
・チームメンバーの目標達成
「~すべき」ではなく、「~しよう!」という雰囲気作りが大切です。

例えば「グッド&ニュー」は、朝礼などの場で1人のチームメンバーに過去1週間以内に経験した嬉しかったことや楽しかったことをみんなの前で発表します。

他にもチームメンバーのお誕生日におめでとうの言葉の他に、色紙に一言メッセージを添えて渡します。こうした取り組みを続けることによって、チームメンバー同士の親密度が増して院内の雰囲気がガラッと変わってきました。

土台になるのは「喜ばせよう。感動させよう」という気持ちが生まれ退職者はいつでも良いんに顔を出して帰ってこれる雰囲気が作れます。その土壌こそが考える風土でもあります。また、1年に3~4回の「タウンミーティング」で院外で当院の現状及び展望を話し合います。

またチームメンバーの評価を院長自身が認識し、何が求められているのか理解する必要があります。医院の求めるべき人材を明確化して目指すべき方向を各チームメンバーが理解出来るように仕上げる必要もあります。

6、コミュニケーションが組織の効率をアップさせる

歯科医院の風土を作るうえでも、コミュニケーションは重要です。
大きく分けて2通りあり、1つ目は公的なもので医院のなかで取り交わされているものです。ミーティング・会議・討論・命令・連絡・中間報告・結果報告など仕事に対してのすべてのやりがいのことです。

もう一つはコミュニケーションは私的なものになり、家族や友人などの間で取り交わされています。近頃は対人コミュニケーション能力の低下が問題になり、歯科医院に来院される患者さんは老若男女、年齢もさまざまになります。

コミュニケーションの技法を習得するためには、まずいろいろな患者さんと話すことが一番です。そのためにNLP心理学を学んだり、ミーティングで即断即決の習慣を身につける必要もあります。

7、まとめ

歯科助手は、やる業務も多いものの賃金も安く実際に入社してからそのイメージとのギャップに退社してしまう人も少なくありません。歯科医院の経営が厳しい時代になっている今、チームメンバー同士の関係性を作っていく為にも、優秀な歯科助手は必要不可欠な存在ともいえるのではないでしょうか。