「ライバル店が値下げしたから、うちも下げないとお客様が逃げてしまう……」
「良いものを作っている自負はあるけれど、高くすると売れない気がする」
個人事業主や中小企業の経営者にとって、「価格設定」ほど頭を悩ませる問題はありません。しかし、多くの人が陥っているのが「相場に合わせる」という罠です。
実は、ビジネスを安定させ、優良なお客様に囲まれるための「鉄板の価格法則」が存在します。それが「1.3倍の法則」です。
今回は、なぜ「1.3倍」なのか、その心理的根拠と具体的な活用法を詳しく解説します。
1. 「ちょっとだけ高い」が一番損をする理由
多くの経営者は、価格を上げる際に「波風が立たないように」と、ライバルより数%から10%程度だけ高い価格をつけがちです。
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ライバル: 5,000円
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自社: 5,500円(1.1倍)
実は、これが最も危険な設定です。心理学的な「弁別閾(べんべついき)」という概念では、人間は「1.1倍程度の差」では、その違いを明確に認識しにくいとされています。
この価格差だと、お客様の目には「同じような内容なのに、こっちの方が少し高い(損だ)」としか映りません。つまり、「価格の比較」という同じ土俵で戦わされてしまうのです。
2. なぜ「1.3倍」なのか?心理的な境界線
商品やサービスの質に「明らかな違い」を感じさせ、お客様に納得してもらうための魔法の数字が「1.3倍」です。
価格が1.3倍(あるいは1.3倍以上の価値)になると、お客様の脳は「これは、これまでのものとは別のカテゴリー(上位クラス)の商品だ」と認識するようになります。
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1.1倍の差: 「少し高いな(比較対象)」
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1.3倍の差: 「何か特別な理由があるはずだ(興味・期待)」
1.3倍の価格をつけることは、単に利益を増やすだけでなく、「比較検討の土俵から降りる」ための戦略的な決断なのです。
3. 【具体例】1.3倍の法則で変わるビジネスの見え方
あなたのビジネスに当てはめて考えてみましょう。
事例①:カフェ・飲食店
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普通のコーヒー: 400円
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1.3倍のコーヒー: 520円〜600円
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見せ方の違い: 520円にするなら、単に「美味しい」ではなく、「農園指定の豆を、注文を受けてから手挽きし、最適な温度でハンドドリップする」というストーリーを添えます。お客様は「120円の差」ではなく「特別な体験」に対してお金を払うようになります。
事例②:整体院・リラクゼーションサロン
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標準コース: 6,000円
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1.3倍のコース: 7,800円〜8,000円
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見せ方の違い: 「痛いところを揉む」のではなく、「最新の姿勢分析に基づき、再発しないための根本改善プログラムとセルフケア指導をセットにする」といった付加価値をつけます。お客様は「6,000円の店」とは別の「専門家」としてあなたを見るようになります。
4. 1.3倍の価格を正当化する「根拠(理由)」の作り方
ただ価格を上げるだけでは、当然お客様は離れてしまいます。大切なのは、価格に見合う(あるいはそれ以上の)「理由」を言語化することです。
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手間暇(プロセス)を伝える: 「完成までに通常の3倍の時間をかけています」
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希少性を伝える: 「この地域でこの技術を持っているのは私だけです」
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未来を伝える: 「これを受けることで、3ヶ月後のあなたの生活はこう変わります」
この「理由」を伝えるのに最適な場所が、お客様との信頼関係を築く「ニュースレター」なのです。

5. 手書きニュースレターが1.3倍の法則を支える
綺麗なパンフレットやWebサイトで「こだわり」を語っても、今の時代、なかなか信じてもらえません。しかし、「手書きの文字」で語られる店主の想いには、嘘がつけない温かさと説得力が宿ります。
毎月、手書きのニュースレターでお客様に有益な情報を届け、あなたの専門性や情熱を伝えていれば、お客様の中に「心の貯金」が貯まっていきます。
すると、あなたが「1.3倍の価格」を提示したとき、お客様はこう思います。
「あの先生がそこまで言うなら、絶対に良いものに違いない。むしろ安いくらいだ」
ニュースレターは、価格で選ばれる「消耗戦」から卒業し、価値で選ばれる「ブランド構築」のための最強のサポーターなのです。
まとめ:価格は「決意」のあらわれ
商品価格を1.3倍にするということは、「私はこれだけの価値を提供する」というお客様への約束でもあります。
もし今、あなたが価格競争に疲れているなら、勇気を持って「1.3倍」のラインを見据えてみてください。そして、その価値を伝えるために「手書きの言葉」を使い始めてみませんか?
価格設定が変われば、集まるお客様が変わり、あなたのビジネスの未来が劇的に変わります。


