紹介・口コミで患者さんは絶対増える
クインテッセンス出版 澤泉 千加良(著)
歯科医院での紹介は、「患者さんと患者さんの信頼関係」があってはじめて成り立つものです。紹介の来院はその信頼関係を借りている状態に過ぎません。この本では、どうしたら紹介したいと思える歯科医院になるのか?「紹介してよかった」といわれる歯科医院とはどんなものなのかが紹介されています。
1、歯科医院を紹介したいと思う時
患者さんから患者さんを紹介するとき、
- 試しの紹介
- 本当の紹介
があります。
友人に初めて紹介するのが試しになり、良かったと思える体験が伴い初めて本当の紹介になります。紹介してくれた患者さんは、紹介した患者さんが満足するような対応を期待します。
紹介で来院した患者さんは、歯科医院が良い対応をしてくれることを期待し、素晴らしい出会いであってほしいと望みます。この2つの期待に答えることが大切です。一度でも満足できなければ、次の紹介に繋がることはありません。
2、パレートの法則
あなたはパレートの法則を知っていますか?さまざまな物事が80:20に分かれるというもので、患者さんが歯科医院の紹介や口コミをするときにも当てはまります。紹介をする患者さんは全体の20%、紹介をしてくれない患者さんは80%と分かれます。
より詳細に分けて2:6:2の法則とすることも。上位20%は今まで通りでもきっかけがあれば紹介してくれる人、60%は今まで通りの治療では患者さんを紹介しない人、最期の20%は紹介しない人です。
歯科医院の口コミを増やす為には、上位2つのタイプに分けてアプローチをします。そもそも紹介してもらえないのは、「不安や恐れ」「きっかけ」「面倒くさい」などのブレーキがかかっていて、一番割合の多い60%に満足し感動してもらう必要があります。
また、紹介や口コミには「積極型紹介&口コミ」と「受身型紹介&口コミ」の2つのタイプがあります。積極型は商品の購入やサービスに対して自ら進んでお店の紹介や口コミをするタイプです。
受身型は自分から進んでまわりの人に紹介するのではなく、ある条件を満たすと紹介や口コミをします。その多くは「自分の周りの人達から聞かれた時」です。満足していても誰かに聞かれないと発信することがなく、それぞれの特徴に適した方法で取り組みを行うほうが効果的なのです。
3、人に紹介したいと思える歯科医院とは
人に紹介したいと思える歯科医院には共通点があります。
1. 役に立てそう
患者さんの行動を促すものとして「大切な人の役に立てそう」とイメージします。本当の紹介以外では「役に立ちそう」だったり「満足してくれそう」などのレベルで紹介しているのはほとんどです。
2. 喜んでもらえそう
「喜んでもらえそう」のイメージも必要です。患者さん接点で「こんなことしてくれるんだ」と期待を上回ることを患者さんに提供し満足・感動治験を積み重ねます。ただし特徴のない歯科医院は紹介しにくいものです。そのため歯科医院の「売り(特徴)」伝えます。
3. 不安、恐れのブレーキを外す
好きな人しか紹介しない人も多いのではないでしょうか。「人から好かれる人になる」ことは口コミを増やす上でも重要です。地域の人から好かれる理由の一つに、「明るい話をする人」「前向きな話をする人」があります。
特に経営者やリーダーに求められます。あなたは「潜在印象」について考えたことがありますか?歯医者を紹介された人の多くは、知るきっかけでの潜在印象が強くなります。患者さんからどのような言葉で紹介されたのかによっても全く変わります。
そのため「当院をどのような言葉で紹介いただきましたか?」と聴く習慣をつけ、期待に答える努力をしなくてはいけません。
会話カルテコミュニケーションもその一つで「歯科医院から大切にされている」と感じてもらうために、「自分のことを知っていてもらえた」「覚えていてもらえた」という経験です。
目の前にいる患者さんの会話を覚えておくために、診療のなかで最も取り入れやすい「会話カルテ」を作り、その日の患者さんとの会話で印象に残ったことを書き留めておきます。特に紹介の患者さんに対しては、初回から会話カルテを作り信頼関係を育てていきます。
4. キッカケがないブレーキを外す
紹介を増やす為には「良い歯医者さん知らない?」と聞かれる回数を増やすことです。自分から歯の話をするキッカケがあり紹介され、初めて来院するプロセスがあります。歯の会話になるキッカケをつくることが大切です。
またできるだけ歯科医院について知ってもらうことで、歯科医院ではどんなことができるのか?歯の予防法などを考えたときに思い出してもらうきっかけになります。また、紹介しやすいタイミングを作るのもブレーキを外す方法の一つです。
例えば「ありがとう」という感謝の気持ちをどのぐらい伝えていますか?大抵は1回ぐらいは伝えていると思いますが、3回伝えることを推奨します。
- 紹介していただいた患者さんが来院されたとき
- 紹介していただいた患者さんの治療が終了したとき
- 紹介していただいた患者さんが、また新しい患者さんを紹介してくれたとき
伝えるタイミング一つで、患者さんへ感謝を伝える目的が変わるのです。
5. 面倒くさいのブレーキを外す
紹介の言葉やツールを使って行動のハードルを下げてあげることも必要です。「紹介する理由=患者さんが一番良いと思っていること」=「歯科医院の特徴」です。
またブレーキを外すには、HPやブログ、パンフレット、紹介カードなど簡単に紹介できるツールを用意します。歯科医院の所在地や連絡先、診療時間などの必要な情報をすべて記載しておきます。また、歯科医院が開催するセミナーやイベントなども最適です。
4、共“感者さん”を増やす重要性
紹介や口コミを増やす為には「共“感者さん”」の来院を増やす必要があります。診療をしていて「こんな患者さんが増えたらいいのにな」と思ったことはありませんか。
事前に「自分の歯科医院にはこんな患者さんには必ず満足していただける」を決めない限り、患者さんを増やすことも満足度を高める方法も永遠に見つかりません。
「自分の歯科医院に来院して欲しい患者さん」と「自分の歯科医院で必ず満足していただける患者さん」に共感してもらう仕組みこそが共“感者さん”です。
共感ゾーンがあり、価値観の似ている患者さんにはどんな技術や対応を提供すればいいのかがわかるので、満足してもらいやすくなります。患者さんにもしっかりと伝わり「満足・感動」の体験を積み重ねやすくなるのです。
共“感者さん”が自然と集まる歯科医院では他にも「満足度がアップする」「自費診療・ケアの来院が増える」「スタッフの採用がしやすくなる」「スタッフや先生のうとレス緩和、頑張れるようになる」などのメリットがあります。
共感できる歯科医院は長く患者さんから指示されます。そんな共“感者さん”を増やすには「想いを形にして表現すること」が大切です。例えば数ある歯科医院のなかから選んでいただけたことに「ありがとう」を伝えるだけでもいいのです。
この気持ちを伝えるだけで歯科医院で多くの問題になっている
- キャンセルが減った
- 予約時間を守ってくれるようになった
- クレームが減った
- スタッフの説明をしっかりと聞いてくれるようになった
などの変化を実感している人もいます。
「想いのミスマッチ」が存在するなかで診療を行うのは、医師やスタッフにとってもストレスになりますし、患者さんにとっても不安をいだきながら治療を受けることになります。双方にとってマイナスになってしまうのです。
5、歯科医院の方向性や想いを明確にする
まずは歯科医院の「想い」を決めなくてはいけません。
先生やスタッフで「どんな患者さんに来てほしいのか」「満足してもらえるのか?」を決め、その患者さんはどんな想いに共感してくれるのかを考えます。
より具体的に表現しないと伝わりにくくなります。例えば「ありがとう」の一言でも、表現レベルが違うことに気付いたのではないでしょうか。表現のレベルも実践するのが難しい「理想レベル」と少し頑張れば実践できる「努力レベル」、想いは伝わらないもののすぐに実践できる「実践レベル」があります。
また、先生一人だけでも実現できることもありますが、共“感者さん”を増やす為にはスタッフの協力が必要不可欠になります。「共“感者さん”が集まる歯科医院つくり」を行うために、患者さんだけでなくスタッフの皆さんにも共“感者さん”になってもらう必要があります。
これから始める取り組みをスタッフの皆さんにもプラスになることを伝えます。日頃からのスタッフとの信頼関係を作る必要があります。
先生を信頼しているスタッフの多くは「いろいろと相談に乗ってくれる」「話を聞いてくれる」などの声があります。スタッフの共“感者さん”を増やすコツは、自分の話を聞いてくれて、自分の意見を取りれてくれることで大切にしてくれていると感じるのです。
例えばスタッフが抱えている課題を解決してくれるなどの“個別ヒアリング”を行います。課題に対してどうやって解決できるのかを考え表現します。
あくまでもスタッフのことを実現させるのが先で、自分のことを実現させるのは次の順番を大切にしています。スタッフのことを大事に思っているからこその、“共感者”ともいえます。
6、口コミや紹介したい歯科医院を目指そう
他にも歯科医院の口コミを広める為に「モニター患者さん制度」を取り入れたり、医院紹介カード、定期検診案内往復はがき、ブログ、患者さんフォロー体制など患者さんが口コミを書くきっかけを与えることも必要です。
また、スタッフ自身が紹介や口コミを拡大するために「成長支援福利厚生制度」などの方法もあります。先生の多くはスタッフが頑張って仕事ができる歯科医院を作りたいと思っているものですよね。
成長するきっかけを与えやる気に繋げることも、歯科医院の満足度を高めることもできます。一緒に頑張るスタッフを増やし安定させ、自分の働いている歯科医院の良さを周りの人に話せるスタッフが増えれば患者さんとも自然と増えていきますよ。
7、まとめ
口コミや紹介を上げるという考えは、リピート率が利益に大きく影響する業態には必須だと思います。必要だけれども何をしたらいいかわからない場合が多いと思います。どういう考え方でどう進めるのがいいのかがとても参考になると思います。